「Cheap Chic(チープ・シック)」。ポパイ世代(今のではなくオリジナルの。実は自分もそうです)なら、耳馴染みのある言葉ですね。
この言葉を世に知らしめたのは、1975年にフランスのフォト・ジャーナリストであるカテリーヌ・ミリネアとアメリカ人フリージャーナリスト、キャトル・トロイという2人の女性によって書かれたファッションについての本『チープ・シック―お金をかけないでシックに着こなす法』。
作家の片岡義男氏が日本語訳を手がけている翻訳版は、20刷まで増刷されていて、実は隠れたロングセラーになっています。
お金をかけずに自分のスタイルを築くための9つの章
自分がなにを着ればいいのか、どんなスタイルをすればひきたつのか、をもっともよく知っているのは自分自身なんだとして、ファッション雑誌などメディアや流行に惑わされることなく、服装はその人の生き方を反映したものであるべきだというのが、本書のテーマ。
「Cheap Chic(チープ・シック)」というのは、単純にお金をかけないということではなく、自分に合ったしっかりとしたいいものを選び、不必要なものを極力無くすことによって無駄な出費を抑えることになるわけです。
そうしたテーマに即したファッションの指南を、本書では数多くの資料写真を掲載した9つの章に分けてしてくれています。
- ベーシックという、とても大事なもの
- ほんとうにクラシックなもの
- その次にクラシックなもの
- アンティーク
- スポーツウェア
- 民族衣装
- 1枚の布と、あなたの体
- 作業衣の着こなしかた
- いろんな服の組み合わせ
今の時代なら、クラシックな高級品とスポーツウェアを合わせてコーディネイトするのなんて当たり前になっていますが、70年代中頃にこのスタイルを提示したのはかなり新しかったことでしょう。
ただ本書を読むことによって、既に当たり前のようになっている基本を再確認できると思います。
”目利き”の重要性
今の時代、モノや情報が世の中には溢れています。逆に本書が出た頃よりも安くていいモノがたやすく手に入る時代だと言えます。
そこで一番重要なのが、「目利き」。価格やブランドに惑わされることなく、いいモノを見極める能力を身につけること。「Cheap Chic(チープ・シック)」とは、要は自分らしい「目利き」がされてるかどうかだと思います。
これは、ファッションだけでなくライフスタイルそのものに置き換えることができます。
本書は、初版が70年代に発行されたものなので、ビジュアルや使用されている写真などかなりレトロなもので参考にはなりませんが、書かれている内容自体は今でも十分に参考になるものなので、よかったら一度手にとって見てみてください。
おまけ
POPEYE(ポパイ)の2013年9月号で、「チープ・シックを知ってるかい?」というタイトルで特集してましたね。
こちらも気になったらチェックしてみてください。