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ジム・ジャームッシュの映画に使われたオールディーズ・バット・グッディーズな15曲

ジム・ジャームッシュの新作映画『パターソン』が、かなり良さそう。

こんにちは、GOOD THINGS GOING管理人(@GOODTHING_GOING)です。

実は、もろ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」世代です。ジャームッシュ監督作品は、1984年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)を獲得した『ストレンジャー・ザン・パラダイス』はもちろんのこと、デビュー作の『パーマネント・バケーション』に始まり、『ミステリー・トレイン』 『コーヒー&シガレッツ』『ブロークン・フラワーズ』…すべてと言いたいところですが、ここ数年映画館にあまり足を運ばなくなってしまったこともあって直近の2作ほどは観ていないのですが、それ以外はほとんど公開時に観ています。

それで先日ついSNSを見ていたら、ジム・ジャームッシュの新作映画『パターソン』のことがタイムラインに出てきて、なんとなく興味が湧いて予告編のトレイラーを観てみたんです。

そこに使われてた音楽、といっても1分30秒ほどの短いトレイラーの後半に挿入されてるインストゥルメンタルなのですが、そのサウンドが素晴らしく、久しぶりに自分の中でジム・ジャームッシュ熱が再燃してしまっているというわけです。

 新作映画『パターソン』のトレイラー中の1曲

これが、その予告編トレイラー。

映画のストーリーは、公式サイトに以下のように書かれてます。

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりのない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

トレイラーの映像と公式サイトのストーリーについての説明から推察されるのは、この『パターソン』は、淡々とした日常の何気ない出来事を紡いだミニマルな内容だということ。

これこそジム・ジャームッシュが、一躍脚光を浴びることになった『ストレンジャー・ザン・パラダイス』以来得意としてきた手法で、そこに映像美や詩的な表現が散りばめられているわけです。

そのあまり起伏のないストーリーの行間を埋めるように、ときには説明してくれるようにインサートされているのが音楽。ジム・ジャームッシュ作品にとって、音楽の存在はとても重要な位置にいると思います。

過去、数多くの作品においても既存の楽曲が印象的に登場しますが、『パターソン』のトレイラーにもちょっとマイナーコードのソウルテイストなインストゥルメンタルが聴覚に訴えかけてくるかのように印象的に挿入されてます。

この曲があまりにもカッコよかったので、すぐにShazamを使って調べてみると、50年以上に渡って活動し続けているニューオリンズのWillie West(ウィリー・ウェスト)というベテランシンガーが、2015年にフィンランドのレーベル「TIMMION」からリリースした「I’m Still A Man (Lord Have Mercy)」という作品でした。

こちらは、トレイラーに使用されているインストヴァージョン。

映画に使用されているのは、もしかしたら歌入りの方かも。




ジャンルにこだわらない「古き良き」音楽

Willie West(ウィリー・ウェスト)「I’m Still A Man (Lord Have Mercy)」の素晴らしさに触発されて、ジャームッシュ作品の中で個人的にも印象に残ってるいい曲を選曲してみたくなり、プレイリストを作成してみました。

ジム・ジャームッシュ新作映画『パターソン』公開記念「Oldies But Goodies : 15 Songs Used in Jim Jarmusch Films」

ジャームッシュって、ジャンルにこだわらない「古き良き」音楽を引っ張り出してくるセンスが素晴らしいですよね。

ということで、今回、“Oldies But Goodies(オールディーズ・バット・グッディーズ)”というテーマで、ジャームッシュ映画に使用されている、昔の曲だけどいまだに古びることのない15曲をセレクトしてみました。

それでは、1曲ずつ簡単に説明しておきます。

1.Mystery Train / Elvis Presley

1989年に公開され、カンヌ国際映画祭芸術貢献賞を獲得している『ミステリー・トレイン』のオープニングに使用されているElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)の同名曲。この曲はカバーで、ブルースシンガーのJunior Parker(ジュニア・パーカー)がオリジナル。

2.Louie Louie / Richard Berry & The Pharoahs

『コーヒー&シガレッツ』(2003年)のオープニングに使用されているドゥワップ。あらゆるジャンルのアーティストにカバーされてる超有名曲で、『コーヒー&シガレッツ』では出演もしているIggy Pop(イギー・ポップ)のヴァージョンもエンドロールで使われています。

3.Pain My Heart / Otis Redding

「ソウルの王」こと伝説的なソウルシンガーOtis Redding(オーティス・レディング)のデビューアルバムのタイトルでもある珠玉のソウルバラード。『ミステリー・トレイン』で使用。

4.It’s Rainning / Irma Thomas

こちらも『ミステリー・トレイン』にフィーチャーされている「ニューオーリンズのソウル・クイーン」ことIrma Thomas(アーマ・トーマス)の1961年作。

5.Baden-Baden / The Modern Jazz Quartet

The Modern Jazz Quartet(モダン・ジャズ・カルテット)が1957年にリリースしたアルバムに収録されているクールなジャズ・ナンバー。『コーヒー&シガレッツ』の4話「それは命取り」で使用。

6.Ride Your Donkey / The Tennors

ジャマイカのロックステディーグループThe Tennorsの1968年作。カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞している『ブロークン・フラワーズ』(2005年)で使用。

7.Funkadelic / Nappy Dugout

Pファンクの代表的グループFunkadelic(ファンカデリック)の1973年にリリースされたアルバム「Cosmic Slop」に収録されている作品。『コーヒー&シガレッツ』においてヒップホップグループWu-Tang Clan(ウータンクラン)のGZAとRZAがビル・マーレイと共演している10話「幻覚」にて使用。

8.I Want You / Marvin Gaye

Motown(モータウン)を代表するR&B/ソウルシンガーMarvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)が、1976年に発表した同タイトルの傑作アルバムの1曲目に収録されている楽曲。『ブロークン・フラワーズ』で使用。

9.Jockey Full Of Bourbon / Tom Waits

1985年にリリースされたTom Waits(トム・ウェイツ)のアルバム「Rain Dogs」のファーストシングル。本人も出演している『ダウン・バイ・ロー』(1986年)で使用。

10.I Put A Spell On You / Screamin’ Jay Hawkins

奇才ブルースシンガーScreamin’ Jay Hawkins(スクリーミン・ジェイ・ホーキンス)の1956年作品。ちょっとオカルトチックなB級感溢れるこの曲は、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』に使用されたことにより当時日本でも話題に。

11.Yègellé Tezeta / Mulatu Astatke

エチオピアン・ジャズの生みの親Mulatu Astatke(ムラトゥ・アスタトゥケ)の代表的作品。この曲は、Damian Marley(ダミアン・マーリー)Nas(ナズ)「As We Enter」のサンプリング・ネタとしても有名。『ブロークン・フラワーズ』で使用。

12.Serenade To Nalani / Jerry Byrd

アメリカのスチールギター奏者Jerry Byrd(ジェリー・バード)によるハワイアン・インストゥルメンタル。『コーヒー&シガレッツ』で、Iggy Pop(イギー・ポップ)Tom Waits(トム・ウェイツ)が出演する3話「カリフォルニアのどこかで」にて使用。

13.Down On The Street / The Stooges

Iggy Pop(イギー・ポップ)が中心メンバーとして70年代に活動していたアメリカの伝説的ロックバンドの70年作。『コーヒー&シガレッツ』の8話「ジャック メグにテスラコイルを見せる」に使用。ちなみにジャームッシュが監督脚本を担当しているThe Stooges(ザ・ストゥージズ)のドキュメンタリー映画ギミー・デンジャーが、9月から日本公開されます。

14.Mr.Soul / Neil Young

この曲だけ、ジャームッシュが映画のために選曲した楽曲ではありません。これはジャームッシュが監督したNeil Young(ニール・ヤング)のドキュメンタリー『イヤー・オブ・ホース』の中の1曲。 Neil Young(ニール・ヤング)がロックバンドBuffalo Springfield(バッファロー・スプリングフィールド)に所属していた時代(1967年)の作品のライブテイク。

15.I’m Still A Man (Lord Have Mercy)/ Willie West

最後は、前述した『パターソン』に使用されているニューオリンズのベテランシンガーWillie West(ウィリー・ウェスト)の2015年作。

最後に

好きな映画に使われてる曲って、自分の記憶の中に深く刻まれるものが多いですよね。

最初は、映画を通じて知ったのに次第にその曲自体が好きになっていったり。

ジャームッシュは、自分でもバンドをやっていたり、出演者や交友関係にもミュージシャンが多くて本当に音楽好きなんだと思います。今回この記事を書くために、作品を見直したりしてみて、ジャームッシュの音楽に対する守備範囲の広さとセンスの良さをあらためて痛感しました。

特にその選曲の良さが光っていたのが、『コーヒー&シガレッツ』のサウンドトラック。映画に使用されている曲の中から13曲がセレクトされているCDなんですが、これが上質なコンピレーション・アルバムと呼べるくらい素晴らしい内容の作品で、個人的に10数年聞き続けている愛聴盤です。

残念ながら、Apple MusicやSpotifyにこの作品はありませんが、CDでまだ手に入ると思います。公開したプレイリストと合わせてチェックしてみてください。

ということで、ジム・ジャームッシュの新作映画『パターソン』の公開が、待ち遠しいGOOD THINGS GOING管理人(@GOODTHING_GOING)でした。

ではまた。

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